大バッハの系譜@びわ湖ホール声楽アンサンブル

これは、いい公演でしたねえ。思わず洗脳されてしまいそうだ。真面目な話、合唱でこんな風に胸を打たれた公演ってはじめてだった気がします。終わった後しばらく立ち上がるのも億劫なほど感じ入っていました。

バッハ一族と同時代の教会音楽を集めたプログラム。こういうプログラムって、実は、サウンドとしての美しさは堪能してもそれ以上のところを感じるのは難しかったりするのですが、今日は、これがどんな音楽なのかという観点で、非常に腑に落ちた経験でした。様式的な要素、たとえば“わが喜びなるイエスよ”でのchoralとchorの掛け合いなども、これまでの経験ではなんとなくで通り過ぎてしまうところを、もう一段踏み込んで聴けたというのか、何故そうなっているのか納得出来るものでした。今日は訳詞のみでなく対訳があったのも良かった。

良かったといえば、今日はソプラノパートがすごく飛び込んで来ていて、特にお一人の声がすごく引き立って聴こえていて、これは決してバランスを乱すものではなく全体としての調和を保ったまま、音色の上でそのように引き立って聴こえるということですが、これが極上の時間でした。こういうのがあるかないかで自分の入れ込みが全然違っちゃうんですよ。

びわ湖ホール声楽アンサンブルは、去年の定期と比べてもすごく良くなったと思います。今日は客席も満席に近かった。

http://www.biwako-hall.or.jp/2012/05/2124/
びわ湖ホール声楽アンサンブル第49回定期公演 「ドイツ合唱音楽の伝統 〜大バッハの系譜〜」

2012. 7.28 (土)びわ湖ホール 小ホール
指揮:マティアス・ユングザクセン声楽アンサンブル指揮者)
お話:本山秀毅(びわ湖ホール声楽アンサンブル専任指揮者)
チェロ:上田康雄
オルガン:中山幾美子
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル

プログラム
ヨハン・バッハ :
モテット“人生は影のごとし”
モテット“ふたたび心に安らぎを”

ヨハン・クリストフ・バッハ: 
モテット“正義の人は、たとえかりそめに死すとも”
モテット“汝恐れるなかれ、われ汝とともにあり”

ヨハン・ミヒャエル・バッハ: 
モテット“守れ、汝のもてるものを”
モテット“主よ、どうか私に知らしめてください”

ヨハン・ルードヴィヒ・バッハ: 
モテット“われらの苦しみは、かりそめのはかなきもの”

ヨハン・セバスティアン・バッハ: 
モテット“われは汝を見捨てず、さればわれを祝福したまえ” BWV Anhang 159

ヨハン・クーナウ: 
モテット“わが心悲しむ”

アントニオ・ロッティ: 
十字架にかけられ

ヤン・ディスマス・ゼレンカ: 
わが目は闇に包まれ

ヨハン・セバスティアン・バッハ: 
モテット第3番“わが喜びなるイエスよ”BWV 227

ゴットフリート・アウグスト・ホミリウス: 
モテット“天にいます父よ”