住民訴訟の報道へのコメント/利便性vs規制?

上のように報道されたわけですが、色んなところで扱ってもらえたのはよかったのですが、不本意だったのが、景観と建築物の貴重性が前に出過ぎてしまって、音楽ホールとしての機能(利便性)vs 景観や文化財保護(不便)という図式になってしまったこと。特に高さ規制に関しては、ただでさえ、京都だけなんで東京や大阪にない不便や規制があるんだということで悪い先入観があるので*1、利便性vs不便という図式は非常にまずかったと思います。

実際には、同程度の機能を実現するために、現在の建築物を改修して60億円で済む計画案で検討が進んでいて、それで景観や建築への影響も抑えられるのに、60億円で済むものをわざわざ110億円以上かける無駄な工事であることを訴状に盛り込んで、記者会見の場でもそう説明したのですが、誰も興味を持たなかったようです。私の説明が悪くて、プロセスに対する不満のように受け取られてしまったのかもしれません。

また、市のコメントでは「安心安全」を前面に出していることから、現状の建築物(改修無し前提)に対する耐震性のことを出して来るんだろうなーと。音楽や文化に対しては無理解でも耐震性と言えば即賛成の市民も多く、市民ウケのよい言葉です。現状の建築物は、劣化度調査で躯体は良好な状態を保っており、改修をすれば今後50年間使えるという判断の出ている部分ですが、これを無視して、いきなり現状と建替後の比較になるのでしょう。本当は、京都会館に限らず多くの公共施設において、あまりにも長期間ノーメンテ放っておいて建て替えという発想が常態化している京都市の現状の方が本当はヤバいのですが*2、素朴な市民感情からは、建て替えて安全にすると言えばそっちの方がいいように聞こえてしまうのが困りものです。

*1:それも短絡的過ぎると思うのですが、私にはどうすることも出来ない。

*2:京都市の「既に出来てしまったもの」への金のケチり方は本当に酷くて、本来であれば、正当なメンテコストが出せないのであれば、それは最初から持つべきではないと私なんかは思うのですけど、それが長年あまりにも当たり前になっているので、もはや誰も何も思わないという困った事態です。