利益率が30%から3%になり株主総会は険悪

ちょっとしたメモです。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120621/224392/
半導体製造
ロームの利益率が30%から3%になった理由、同社幹部が語る
2012/06/22 09:00
三宅 常之=Tech-On!


 半導体業界にあって高収益企業として知られるローム。しかし同社幹部の眼には、そうは映らない。かつて30%近い売上高営業利益率を誇っていたが、2006年度から20%を切り、2009年度以降は1ケタ%となった。2012年度は2.1%にまで落ち込み3%にも満たない。リーマンショック東日本大震災を経ても通期での赤字を出さない点で、依然しっかりとした収益力を持つと言えるが、なぜこれほど収益力が落ちたのか。

 2012年6月13日、大阪市で開催された半導体関連フォーラムで、ローム常務取締役研究開発本部長の高須秀視氏が、同社の収益力の変化についての分析を述べた。


「ASICからASSP」が転機に

 高須氏によると、高い営業利益率を誇っていた10年ほど前まで、大口顧客の日本の電機メーカーが内製機器(セット)で主に採用していたのはASIC(application specific integrated circuit)だった。ASICは、ある顧客のためだけにカスタマイズした半導体となるため、顧客の半導体部門が自ら開発・製造しない場合は、競合する他の電機メーカーに開発を依頼することは一般にない。多くの場合、セット部門を持たない半導体専業メーカーに発注することになる。注文の受け手となったのがロームだった。

 しかし、2000年代半ばごろまでに、世界中の電機メーカーがASICよりもASSP(application specific standard product)を多く採用するようになった。どの機器メーカーもテレビや携帯電話機といった応用機器別に同じ半導体を使う。デジタル家電市場では、半導体の差異化よりも、標準インタフェースとの互換性や量産効果による低コスト化が重視されたことによる。この結果、同社の収益を支えてきたASICの受注が減って収益力を低下させる一因になったと高須氏は言う。


次は「エコ」「ヘルス」「非Si」、MEMSも推進

 2004年7月発行の『NIKKEI MICRODEVICES』誌の記事「“70%の稼働率でも30%の利益率”そのロームの強さの理由は?」では、著者の林隆一氏(当時は野村證券金融経済研究所)が、強さの根源は「技術革新のスピードの遅い抵抗器で利益を上げ続ける事業モデルを半導体に適用した点にある」と分析している。その上で、2004年当時にデジタル家電が普及する見込みの2006年以降にも強さを発揮できるのか、見解を示していた。

 ポイントは、機器メーカーが当初はセットの差異化のために内製していた半導体ロームへ発注するようになるか、だった。結果は、機器メーカーは内製をやめたが、採用したのはASSPだった。現在ASSPを供給している主力企業は、ロームではなく、米国や台湾のファブレス企業である。

 高須氏が基調講演をしたフォーラムは、半導体/ディスプレイ/MEMS/太陽電池の製造業界の団体であるSEMIジャパンが毎年実施している「SEMI FORUM JAPAN 2012」。講演タイトルは「MORE THAN MOOREで半導体の世界が新たに拡がる」だった。講演の趣旨は、前述の自己分析を踏まえて、「MORE THAN MOORE」すなわち微細化によらない形で、半導体に付加価値を与える事業を展開していくというものだ。高須氏は、20年以上前から「MORE THAN MOORE」の重要性を指摘、現在も精力的に発言している(関連情報 http://www.micromachine.jp/programs/071101.html)。

 現在、研究開発のキーワードとして掲げるのは、エコロジー、ヘルスケア、Si以外の材料などである。強誘電体材料というSiにはない特性を使って、不揮発性素子を開発、消費電力の大幅な削減に成功している。エレクトロニクス分野では、メカ(機械)や医療などとの融合も重要になると見る。要素技術としてMEMS(微小電子機械システム)の開発も積極的に進めていく。