バーデントスカ@神戸文化ホール

神戸文化ホールでオペラを観るのは3回目かな。この会場は昭和に作られた関西のホールには多いアルカイック型なので*1私の好きな上階サイド席が無いので仕方なく二階正面に陣取る。センター寄りブロックの視界がセンター側に向かってる開けている端席で前から4列目なので視覚的には理想的な場所である。しかし、この客席構造は、席数と視覚を両立するにはいいのかもしれないが、視覚なんかいくら見切れてもいいから高解像度で聴きたい私のような人間にとっては不利である。今日もオケがバシバシ来るなあとおもいながら、歌手の声がオケにマスクされて細かなニュアンスが分かりにくいことったらないので、みんなよくいつもこの状態で聴いてるもんだと思う。ついでに、こういう状態だと大声大会志向になっても仕方無いのかも、と思う。

ただ今日良かったのは、オケが一定してよい音を出していたことで、去年のバーデンの公演では(あまりはっきりとは書かなかったけど)演奏は・・・なところもあったけど、今年はずっと良かったと思います。ドラマの支えとしても。今回惜しかったのは入りの音の緊張感が欠けた点と、だからあまり期待出来ないかなと思って聴き始めたのですが、最初の最初だけで以後は安心して聴けた・・・と思いきや、最後の最後も何かバラけてしまったのだよなあ。それ以外はずっと安定して良かったし本当に最初と最後の数小節だから、これはなんか意図があってやっていたけど私が分からなかったということなのだろうか。謎は残る。実は直前のトスカがウェザーメスト指揮のWPOでオペラの演奏としては確実にこれまでの三本の指に入り、それどころか新境地を感じたほどなので*2 *3、あの後に聴く同演目はどんな出来でも物足りないのではないかと密かにおそれていたのですが、そんなことは全然無くて良かったです。

一方、歌手陣は、上に書いたように細かいところがわかんなかったからなーといったところ。トスカはまあまあ満足で、スカルピアはまあ合格で、カラバドッシは不満だったような記憶があるくらい、すいません、オケのところだけ先に書いて放置して時間が経ったら歌手の記憶があいまいになってしまいました。去年のバーデンは歌手に感心したりしなかったりがはっきり分かれてオケはあんましだったのが、今年は逆になってしまいました。会場の影響もあったかもしれません。

休憩中に呼び屋さんとお話してきまして、こういうのを上演しようとしたら舞台はどのくらい必要ですかと聞いたのですが、その呼び屋さんのところでは「体育館でも出来ます」とのこと。最初からそのようなものしかやらないそうです。舞台装置も、幕は全然使ってないし、よく見るとセットも角度が可変の6枚板みたいなセットになっていて、会場に合わせて伸び縮みするようになっているのでした。

キャストは後ほど追記

*1:その元を辿っていくとパリのバスティーユなのでバスティーユ型と呼んでもよいかもしれないけど、バスティーユには少ないながら上階サイドのバルコニーがあるので、それを日本に持ってくるときにサイドのバルコニーを削って客席も二階までにして、以後関西に作られたホールはみなそれを踏襲しているので、やっぱりアルカイック型と呼ぶべきかと。

*2:これは私が、こういう感じ方があり得たのか!という発見をしたということです。

*3:じゃあその3本の指の残り2つは何なのかというと、ガッティ指揮のパルジファルチューリヒと、DKTルルですかね。指揮ということでは。でもメスト指揮のトスカは限りなく1番に近い3本の指・・・と言いつつ、1番と断言しないのは、この3つ、どの順番で出会っても、残り2つを知っている状態でさらなる新境地を発見させるとはすごいと思って1番を上げてしまいそうな存在だからです。