京響定期2013年3月

今日は良かったですねえ。まずハチャトゥリアンの仮面舞踏会組曲。始まった瞬間、なんだなんだ一体何が起こったんだ?という印象でした。よく鳴ってましたね。京都コンサートホールというのはどこが演ろうが鳴らすのが難しい箱なんですが。そして楽章毎に個性がすごく明確で、それぞれで何が言いたかったのか(何を表現したかったのか)がよく伝わって来る演奏でした。

続くヴァイオリン協奏曲。実は京響の定期ではどうもゲストソリストがイマイチな傾向があって協奏曲が捨てプログラムになってしまいがちなところがあったのですが(折角のゲストの甲斐がない客ですいませんすいません)、なんだか来る人来る人バークなんですよ。ガンガン弾きゃいいと思ってんのか?という。本日もお名前が東アジア某国っぽいところからそっち系統かと諦め気味だったのですが、今回の人はバークじゃなかった。そして音楽が鳴り出した途端、ロマンティックなのか陶酔なのか韜晦なのか分かんない独特の感覚に、ああコルンゴルトだなあ、と。この人の音楽が退廃音楽と時代遅れ呼ばわりの両方から苛まれるのは、時代の悪戯というか、なんとも皮肉なことだと思いました。

プロコフィエフの7番。なんとも可愛らしいテーマが跋扈する曲。鉄琴て、こんなに可愛らしい音だったのかと思いながら聴いていました。胸を掻き毟られたり、翌日まで消えない想いが残ったりするタイプの切実な音楽ではありませんが、これはこれでいいのだという印象でしょうか。

やっぱり国内外オケと比べても・・・いやそんな比較の問題じゃなくてもう絶対値で、今京響はすごくいいと思うのですが、今これが聴けるのは結構すごいと思うのですが、こんだけやってても定期が完売にならなくてねえ。本日は本当にもう一歩だったんですが。いい演奏をしてれば客が来るとはなかなかならなくて、じゃあ何なら皆足を運ぶのかというと、知名度だったり、超ポピュラー曲だったりという、なんとも残念な事態。今の京響の場合、定期の会員は増えててその意味ではいい演奏をしてればリピーターは来るというのは当て嵌まってはいるんですが、京都の土地柄なのかフリーのお客さんが少な過ぎますよね。

2013年3月24日(日)京都コンサートホール
京都市交響楽団第566回定期演奏会
広上 淳一(常任指揮者)
クララ=ジュミ・カン(ヴァイオリン)
ハチャトゥリアン組曲「仮面舞踏会」
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.35
プロコフィエフ交響曲第7番嬰ハ短調op.131