マーラー復活@篠崎=京響
いやー、やっぱり地元はいいわー。と、旅先から帰ったおばちゃんのような感想をつくづく吐いてしまいたくなる本日のコンサートでした。日々新しいオケに出会うのもよいのですが、何もかも馴染みのこの安心感もよいわー。いかにも日本っぽい細やかなところまで神経の行き届いた感も、安心するしね。
このシリーズも3年目です。全部終わって思うことはひとつで、京響の定期なんかでも、そこそこ満足はしても、もう一度この人で聴きたいと思う指揮者は年に1〜2人しかいないのですが、このシリーズ、毎回満足して次も行こうと思うのは、インタープレテーションが伝わって来るからなんだよなあ、と思うわけです。ああ、マーラーってばこんなことが言いたかったのね、という、そういうもの。私は技術的な上手さとか美しさとかより*1、そういうものを求めている聴き手なもので。まあ篠崎さんがそういうセレクションしてるってのもあるんでしょうけど、それも込みで。
そういえば篠崎さんはフィンランド・キュミ・シンフォネッタの首席指揮者だそうですが、今回ヘルシンキ初訪問してどんなところが知った直後で*2、マーラーが音楽監督を務めたハンブルク歌劇場に長居をしたせいもあり、ダブルで縁のあるコンサートでもありました。
思ったことは、びわ湖ホールで聴くと金管の粗が全く見えないということだったり。いつも金管セクションの挙げ足を取ってすみません。でもあの隠し事が何も出来ない京都コンサートホールの音響だからこそ京響はすごく鍛えられたというのは絶対あると思うので、これからも頑張って下さい。
2楽章の遠さと3楽章に入ったときの近さ?生々しさ?の対比もいいですね。音響的にはどっちも臨場感があるんだけど、そういう遠さじゃなくて、楽想による過去と現在の対比がちゃんとあって。
合唱は300人くらいいてすごい人数だったけど(それを言ったらオケも総出演+αのすごい状態だったけど)、声楽アンサンブルが入るせいか、こんだけの人数なのに芯がある感じで、これもちょっと新鮮でした。大編成ならではの困難さも全く感じない演奏でした。って、この規模をそう何回も聴いたことがあるわけじゃないけど、ちょっと比較にならないかもだけど、PROMSで大規模楽曲ゴシックを聴いたときは*3、あー大編成ってこういう大変さがあるのかー的な難しさがあったけど、そういうの全く無しでした。
ソリストは、市原さんは普通に良くて、メゾの人は私は好きじゃないなあ。言葉がはっきりしないし、響きが曇っていて音が埋没しやすい感じで*4。
エンディングは・・・マーラー、あんた、しつけーよ!(笑)マーラーがしつこくて嫌いだという評を見聞きする割には全然そういう印象がなくて、特に一番直近なんてDR響+ダウスゴーのそれはそれは涼やかな10番*5、Kglカペルの奇想天外な6番(誉め言葉)だったりしたもので余計遠い印象を持っていたものですが、今日よく分かりました(笑)。うーん、これはしつこい。
http://www.keibun.co.jp/culture/event/detail.php?event_id=2620
篠崎靖男プロデュースオーケストラシリーズVol.3
「マーラーの復活」 (交響曲第2番)
2013年5月19日(日) 14:00 開演 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール大編成オーケストラ、独唱、合唱、そしてオルガンやバンダ(別動隊の金管楽器)まで用いたかつてない規模。
指揮者・作曲家マーラーが壮大なスケールで描いた、まさに宇宙が鼓動するその響きがついにびわ湖ホールに響きわたります!
滋賀ゆかりの指揮者、篠崎靖男と京響のコンビが創り出す荘厳なマーラーの世界をぜひご体感ください。指揮 篠崎靖男(フィンランド・キュミ・シンフォニエッタ芸術監督)
独唱 市原愛(ソプラノ) アンナ・クオ(アルト)
合唱 びわ湖ホール声楽アンサンブル、KEIBUN第九合唱団
管弦楽 京都市交響楽団