清姫@びわ湖ホール声楽アンサンブル定期

とても充実した公演でした!張り詰めた時間が心地よかった!

前半も面白かったんだけど、後半のオペラ「清姫」がなんとも良かったなーと。現代音楽なんだけど、心地よい緊張感があって、水が猶予う感じとか、鐘が鳴り響く感じとか、渾然一体となって、身を任せていると、なんとも不思議な感覚になって、高揚して終わって、しばらくその感覚だけで何も要らない気分になりました。楽曲そのものと、アンサンブルの皆さんの作り出す音楽空間の素晴らしさですね。音楽によって、聴覚だけじゃなくて他の感覚も刺激されて、聴覚を通り越した空間に包まれているようで、まさに「音楽空間」的になるんです。

主役の清姫安珍+合唱というシンプルな構成なのですが、安珍を歌った山本さんがすごくハマっていて、びわ湖の誇るお笑いテノールユニット・びわ湖ホール4大テノールのメンバーということもあり、ギャグの印象が強い(?)レジェーロ・テノールの山本さんですが、その印象に反して(?)歌の方は生真面目さが入るのがこの人の大きな個性ではなかろうかと私は思っているのですが、この生真面目さが美僧(!)で堅物の安珍というキャラにはまさに適任でして、こういう設定には興味ない筈の私でも、これはちょっとクラっと来ちゃいました。うーん、自分にこんな属性があるとは思わなかった・・・。

清姫は、こちらも個人的に注目している栗原さん。この役は、過去に聴いた役の水準と比較すると、すごくいいとは言い難いのですが、やっぱりいいわー(どっちなんだ!)。何がいいんだと説明しにくいのが栗原さんの個性なのですが、ある時は第一声でもうすごくいいと思うし、またある時は声はそうでもなくて、表現というか、テンションがいいと思うし・・・、今回はテンションですかね。ちょっと日本語が聞き取りにくいというのは今回あったかも。むしろ、合唱の聞き取りが難なく出来たことに驚くべきかもしれませんが。

公演名
びわ湖ホール声楽アンサンブル第52回定期公演 「合唱と室内オペラ―伝統から今日へ―」
プログラム
1. 柴田南雄 作曲/北原白秋 詩:三つの無伴奏合唱曲 (1948)
   1.水上
   2.早春
   3.風
2. 野平一郎 採譜・編曲:清元節卯の花≫(2007) 
3. 佐々木幹郎 台本/西村 朗 作曲 室内オペラ ≪清姫−水の鱗≫
   〜二人の独唱者、混声合唱とピアノのための〜(2011)
   (独唱)清姫:栗原未和  安珍:山本康寛
開催日
2013.06.01(土)

最後に座席の話。座席はお任せの方法でチケット入手したのですが、そしたらやや後半のド真ん中が届いてしまって、ガーン!!座ったらまさに視界のステージ・ジャストの位置で前の人の頭が重なり、どんなサイド席でもこれはないというステージ7割のド真ん中が見えない状態に。これがあるから私は正面とか平土間が好きでないんですよね*1 。しかしびわ湖ホール(ハード)の想定体型の幅が狭過ぎて、ちっとでも平均体型からはみ出すと不都合があるのは、これまで何度も経験してきたけど、今回が一番ひどかった。きっと手配してくれた人はド真ん中が良席だと思って回してくれたのだろう。ああ猫に小判、チビに良席。

しかし!いいこともあって、清姫が客席で歌うときの立ち位置が丁度私のいる列だったんですね。それで、至近距離で空気の振動を直に感じながら聴くことになって、ついでに、本当に真横で聴くよりも数メートル離れたときの方がよく響いてくるという発見があったりして、そちらは良い経験になりました。

*1:ちなみに前の人がいない1列目でも、手すりや舞台縁やその他の構造物が障害になる私には、もはや通常の良席は良席でない。一番安全なのは、たとえ舞台が切り欠けても、さすがにド真ん中が見えないってことはないサイド席。