ドレスデンのボリスレポ(中編)

なかなか書き終わらないので、小出しにします。派手にネタばれしてるので、観にいくつもりの人は読まない方がいいかもしれません(何をいまさら)。
前編 http://d.hatena.ne.jp/starboard/20090706
後編 http://d.hatena.ne.jp/starboard/20090712

三幕一場 ボリスの居間

幕が開くと、フョードルとクセニアがフェンシングしています。2人とも、いいとこの子女風の衣装の上に白いフェシングベスト*1を着けてます。一戦交えた後にベストを脱いで、おもむろに亡くなった婚約者について嘆きはじめるクセニア。一方フョードルは「ここがヴォルガ、ここがオカ河・・・」と唱えながら王冠を抱いたドクロの落書きを始めます。クセニアの乳母が「もう泣くのはお止めください、もっといい人が現れますよ」とやっているところにボリス登場です。黒の上下に革ジャン+シルバーアクセという、こんな政治家いたら女性人気が大変なことになりそうな気がしますが、まあそっちの方々にも大変人気が出そうな*2・・・要するにそんな感じです。


で、登場したところで乳母と抱き合うのですよ。それがハグって感じじゃなくて、非常に生々しい。もともとこの乳母、乳母というには若いしグラマーだし、クラシカルな、しかし体の線を強調するスーツを着ていて、現代ですから乳母というよりは教育係なんでしょうが、それはともかく、このむさくるしいオペラの中で一箇所くらい艶っぽい場面を入れてみましたってところでしょうか。そこに入れるかー!とツッコんであげると関係者は喜ぶと思います*3


次にクセニアを抱きしめ、慰めるボリス。このときは父親の顔ですね。見事です。ここで私の大好きな台詞「運命はわしをそなたの幸運の施し人とされなかったのだ」です。うふふ。その後は落書き中のフョードルのところに行って「ところでお前は何をしておるのだ?これはなんだ?」「モスクワ王国の地図です。これがモスクワ、こっちがノウゴロド・・・」と嘯くヒョードル。「なんと素晴らしいことだ!!」えーと、台詞は一緒なんですが、なんか趣旨変わってます*4。ここからボリスのモノローグ「私は最高の権力を手に入れた・・・」に入ります。今度はしっかり聴けましたよ。ああでも、最後の「幼い皇子を」のくだりとか、どんなだったか全然覚えてない。胸いっぱいになっちゃって、却って記憶がフラッシュアウトしてます。


この辺で貴族のひとりが入ってきた筈ですが、なんか印象薄くてどんなだったか思い出せません。シュイスキーが包みを片手にやってきて、僭称者の到来を告げます。ドミトリの名前が出てきたところでヒョードルの同席を許すか否かでひと悶着あるんですが、追いやられそうになりつつ結局同席してました。「ウリグチで死んだ幼児は本当にドミトリだったか?」とシュイスキーに詰め寄るボリス。シュイスキーが生々しく死体の様子を描写し、ボリスは気分が悪くなるという場面です。ヒョードルが何故かその様子をビデオ撮影してます。この演出はよく分かんなかったな。馬鹿息子なりのお勉強?


シュイスキーが去って幕が降りてきて、シュイスキーが残した包みの中からは子供の頭蓋骨が出てきます*5。ボリスはビデオカメラと頭蓋骨を持って幕の前に移動します。降りた幕に頭蓋骨を投影しつつ「たったひとつの汚点」について語るボリスでこの幕は終わります。

四幕一場 広場

幕が開くと、小太りパンクファッションの聖愚者がジャングルジムのようなところに登って、下の民衆に花を配ってます。ここで民衆達の掛け合いがあって、僭称者を(教会の宣告通りに)脱走僧と見做す派と、生きていた本物の皇子と見做す派のやりとりがあって、民衆が後者に傾きつつある様子が描かれた筈ですが、ここ印象が弱くてよく覚えてません。書記官シチェカーロフとシュイスキーもいた気がしますが、別の場面と混同してて*6よく理解出来ませんでした。ヘルプ熱烈歓迎です。


民衆の掛け合いが終わると花を配り終わって空になったブリキのバケツ*7持った聖愚者が前に出てきて、子供達にからかわれます。この場面は、事前学習の映像が鮮烈だったので、弱く感じてしまいました。残念。あの独特の猥雑さは出なかったですねえ。綺麗にまとまってしまってました。この演奏が悪いのではなくて、比較相手が悪いのですが。


舞台奥から貴族達とボリスが登場。ボリスは輿に乗せられて青い顔をして登場です。ド派手なドットタイを締めたヒョードルもいます*8。ちょっと前後関係があやふやですが、ボリスが輿から降りて、これからは息子をよろしく、みたいなゼスチャーがあります。民衆がパンを強請るが与えられるものがないという場面もあった筈*9。聖愚者による無邪気な告発「わしをいじめた子供らを殺してくれ、お前がドミトリを殺したように」ボリスは否定せず「わしのために祈ってくれ」と応えますが「ヘロデ王*10のために祈ることは出来ない」と断られます。


本日はこの辺で。早く書き上げて解釈編に行きたいものです。

*1:プロテクターをファッショナブルにした感じ。

*2:ええまあ、パーデさんのファッションもそんな感じだしね。

*3:ここまでネタばれしちゃうと野暮かな。←なにをいまさら。

*4:本当は勉学に勤しむ少年ヒョードルを褒めて励ますシチュです。

*5:台詞の内容から考えると、シュイスキーの話の途中で出てくるべき物品のような気もしますが、私が気づいたのはこのタイミングです。

*6:別の版のこの場面では、貴族が民衆に捕まっていたぶられる描写があって、シチェカーロフ達がいたので、てっきりそっちかと思って先入観で見ちゃいました。

*7:ブリキのバケツもとい帽子は歌詞にあるのです。

*8:ボリス、側近達、民衆ともに良くも悪くも現代的なのに、ヒョードルと3幕の登場人物は 50-60年代 30-40年代のアメリカンなファッションだよなー。

*9:あれ?記憶が別の作品とごっちゃになってるかな?

*10:次なる王の誕生を恐れて町中の幼児を殺したエピソードで知られている。