METライブビューイング「ばらの騎士」

巷で話題のMETライブビューイング日本公開、行ってきました。会場が家からちょっと不便なので、今シーズンひとつだけ行こうと思っていて、前評判の高かった「ばらの騎士」を選んでみました。会場はなんばパークスシネマで18:30〜の回。終電の関係で最後まではいられず、3幕の幕が落ちると同時に席を立ってダッシュという慌しい鑑賞になってしまいました。

んで先に総括しちゃうと、音響が駄目で、軽く頭痛がするという残念な結果になってしまいました。映画館の音響としては標準的というか、ここが特別悪いわけでもないと思うのですが、そのあまり良くない音響だと、比較的静かな場面はまだいいのですが、音が大きくなる場面がどうにも辛くてストレスでした。いつもは(クラシック趣味の人からすると)大き過ぎる音量で音楽を聴いている私ですが、さすがになんでもいいわけじゃないんだなーと再発見(当たり前か)。

それで今日の私は、音楽に対してオープンじゃなかった。だからこういう状態でなにか言うのはフェアじゃないと思うのだけど、それでも思ったことをいくつか。

  • 音は、なんだかバラバラに聴こえるというか、モノラルスピーカーが2個ドカンと置いて合って、オケと声がそれぞれ別のスピーカーから出ているみたいな感じ。いや実際にはそんなわきゃなくて、ちゃんと調整されてないんでしょう。そういう音です。というかですね、録音を聴くとはこういうことだと思って聴いてたら、そりゃ録音なんかイマイチって評価にもなって当然だなあと思いました。
  • ソプラノは、つーか女声はやっぱり未だに苦手なんだなーと再確認しました。かなり低音域では快く聴ける瞬間もあるものの、そうでない瞬間が殆どというか、聴いてると苦しくなるんですよ。これは初期の頃からずっと悩まされている現象で、これがあるのによく私はオペラを聴き続けてるなと自分でも思いますが。ただこれは今回は音響のせいで特に強くそういう印象になったというのも大きいのかなと思います。
  • というわけで主要女声3人については、ちゃんと聴けてないので、何も書けないです。そんなかで、グラハムは当日不調だったそうですが、え?これで不調なの?という第一印象だったことは書いときます。
  • そんな状況なのでオックスが出てくると救われます(笑)。以後は思い切りオックスに肩入れしながら観るという偏った観方を実践してしまいました。久々に大熊キャラを堪能しました。これはいい熊だ。いや冗談だけじゃなくて、歌も役作りも良かったと思います。
  • 一幕はなんだかうるさいばかりで終わってしまって、音の違和感にも慣れて、なんとか音楽を聴けたのが二幕から。んーでも、シュトラウスとは不幸な出会い方をしてしまったかもしれない。
  • 今回実は殆ど予習せずに臨んだんですよ。一応予習用ディスクはピックアップしておいたんですが、一回聴きはじめて殆ど入れないまま以後聴かず直前になってしまったので、もうこうなったら初聴きでどんな印象になるか実験してみようと思って。そしたら頭痛でしょう。この実験が裏目に出てしまったかもしれない。
  • アレンはやっぱり芸達者ですね。安心して観て聴いていられます。最初出てきたとき、あれこんな顔だっけ?と思ったけど、横顔になるとあの鼻の下がすこーんと削れているシルエットを見て、ああアレンだ(笑)。
  • ゾフィーの教育係の人は気に入りました。とっても舞台的ですよね。こういう芸風は好きです。あと情報屋の叔父役の人もそんな感じですね。
  • 三幕の警部役の人の水気の多い声も気に入りました。
  • 黙役の黒人少年の可愛らしさもいいです。ただ、一幕はとっても可愛らしくていいんだけど、三幕の最後は、なんていうかうまく使えてない気がしました。ここはうまくやれば余韻につながるような、そんなシーンの筈です。
  • なんか頭痛で疲れてきたので、尻切れトンボですが、この辺で。ライブビューイング次も行くかというと微妙かも。DVD買って家のオーディオにかけた方が音楽的な満足度が高いという微妙な結果になってしまいました。今はホーム用の画面も大きいし鮮明だし、オペラの場合そこまでHDにしてどうするってのもあるし。このライブビューイング画像でも被写体の動きが早いとカメラの方がついていってない現象ありましたよね。でも私は公演の記録を残すという意味ではライブビューイング企画は高く評価してるので、ぜひ続けてください。そしてDVD販売してください。音響が悪いのは映画館のせいです。
  • ああでも、これだけは言っとこう。インターミッションの特典映像はうるさい。音楽の余韻に浸る間が無さ過ぎ。せめて幕が降りてしばらくと、幕が開く前はポーズを設けたらどうかと。ライブ配信の場合は、さっきカーテンコールした歌手が今ああして舞台裏を歩いてるんだ的な臨場感につながるのかもしれませんが、日本の場合ライブ配信じゃないんだし、幕間の時間をライブに合わせる必要もないわけですから、これはばっさりカットして松竹のサイトで動画配信でもして、上映時間そのものを短くして、夜の上映で余裕を持って終電に間に合うように設定したらどうでしょう。あと、ノリがアメリカン過ぎてぐったりする。フレミングとか出てきた瞬間に、さっきまでの元帥夫人はどこへやら、あーアメリカン・・・・って感じだもん。私はこういうのは見せなくていい派です。全て観た後に小話的に見るのは有かと思うけど、幕間に見なくてもいいでしょう*1

*1:まあ、こんなこと言っても、ライブ配信でオペラの幕間を映画館で過ごすためにはこういうのが必要なのは分かるし、一旦そうしてパッケージになってしまったら日本だけカットというのが考えにくいのも分かります。