ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場『こうもり』

なかなか楽しめました。帰りにタッラッター♪と口ずさみながら帰ってきました。

2010年6月15日(火)
ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場
オペレッタ『こうもり』
兵庫県立芸術文化センター大ホール

指揮:ロベルト・ツェルツァー
管弦楽:ウィーン・シェーンブルン宮廷劇場管弦楽団
合唱:ウィーン・シェーンブルン宮廷劇場合唱団

アイゼンシュタイン:ヴォルフガング・フォイト
ロザリンデ:エリザベート・フレッヒル
アルフレードヴァレリーゼルキン
アデーレ:ハイディ・ヴォルフ
ファルケ博士:アルフレード・ベルク
オルロフスキー公爵:ヨッヘン・コヴァルスキー
フランク(刑務所長):ホルケ・ナサラテ=ファビエ
イーダ:ウルスラ・サメイト
ブリント博士(公証人):ダヴィット・アメルン
フロッシュ(看守人):ヨーゼフ・アイスラー

音楽は、積極的に評価する感じでなく、まあこんなもんかなという感じだったのですが、会場が良かったので、結構楽しめました。オペラのホールとしては残響多めで、それが良い方向に作用してる気がしました。はじまる前にオケピを覗くと、なんだかこじんまり。40人くらいじゃなかったかな。オケピいっぱいに広がったところしか見たことがなかったので新鮮でした。

歌手は、ロザリンデの人が突出してたと思います。綺麗な声でうまく響かせてました。楽々としてて聴いてて苦しくなる感じもなく。私のソプラノ音痴も大分直ってきたのではないかと思います。ヨッヘン・コヴァルスキーは歌いだすと空気が変わる感じで、おおーという感じがありましたが、こちらの期待が大き過ぎたのか、最盛期にはもっと良かったんだろうなーと思うところが無きにしもあらず。感心したのはあのボリュームのカーリーヘアが自前だったことです(どうでもいい)。

オペレッタだしあんま細かいことを言うものじゃないとは思いますが、どうにも違和感があったのがアルフレードの人で、第一声から最後まで納得出来なかった。がちゃ声で歌唱スタイルも粗いというか、このblogで普段粗いとかデカ声ならいいってもんじゃないぞと言ってる方々をさらに粗くしたような感じ?これってそういう様式があって、私がただそれを知らないだけとかそういうんじゃないですよね?あとアイゼンシュタインの人は、もっと小役ならいいのですが、ずっと聴くにはしんどかったような。特に三幕がガタガタで。釣り合わない夫婦でしたねえ。他の人はまあこんなもんかな。

演出はコミカルで面白くて、決してリアルではなくお約束なギャグ調なのですが、それはそれで楽しめました。衣装や人物間の関係などは現代風になってて、現代のお金持ちのお家を巡る物語として素直に入れました。んでも、オチのこうもり放置事件への復讐というのはあんまし私にはピンと来ませんね。お国柄の違いでしょうか。


それよか今回は会場が気に入ってしまいました。例のごとく開演前に劇場の隅々をうろついてあちこちの席を試しまくりましたが、どこから見てもそれなりに出来ているんじゃないでしょうか。プロセニアムにあたる部分が大きくてステージに存在感があるんですよね。あとオケピも若干狭いような気がしました。実際幕が開いた後も、ステージとの距離が近いような気がしました。プロセニアムが大きいとコンテンツが寂しく見えるかというと、そんなこともありませんでした。

この日の座席は平土間3列目のサイドブロックのセンター寄り通路沿い、このエリアは目下のところ私の大お気に入り席です。私のようなちびっ子には普通の人には問題にならない前の人の頭が大問題なのでありまして、ステージと自分との間に前の人の頭が来ないサイドブロックのセンター寄り通路沿い席はパラダイスです。ここまで近いと、さすがに細かな表情までよく見えます。

この日の客席の入りは半分くらいで、空席が目立ちます。両隣に人のいない場所を求めて&音響参考のために、幕毎に3列、8列、17列と後退して観ましたが、以外なことに一番満足出来たのは17列目の席でした。3列目は特に間近で見たい人でもいるならともかく、普通に観るには近過ぎるかなという感じ、8列目は音は3列目と変わらず、視覚的に遠くなっただけという感じで、私にはこの付近はあまりピンと来ませんでした。17列目まで下がると、字幕も含めて舞台全体を見るのが楽で、しかもオケがまろやかになって歌が聴きやすいという効果がありました。

というわけで、今日の経験から学んだことです。

  • 私には、いわゆる良席とされるところの10列目付近のプライオリティは、無い。
  • 前方サイドだとバランスが崩れるとか、(10列目付近の音との比較において)近過ぎて音が良くないというのは、私には分からない。だったら思いきり前に行った方がよい。
    • ところでみなさん左右のバランスって気になりますか?私は2階サイドバルコニーのオケ真上という極端な条件ですら気になったことはないです。
  • どうせ下がるなら、20列目付近まで下がらないと、(私にとっては)違いがない。
  • ただし、このホールは比較的良く響くホールだから、あるいは編成が小さいから、こういう結果になった可能性は念頭に置いておきたい。