初メサイア＠クリスチャン教会
昨日で連日のDKT通いは一段落し、ここからはアナセン三昧の延長日程に突入です。本日のメニューはメサイア＠クリスチャン教会です。初日に楽屋に案内してくれたボルクサン指揮による北極楽団(Sinfonietta Arctica)の演奏です。グリーンランドを拠点にしている楽団だそうです。
Christians Kirke
Lørdag 11. december kl. 15.30
Messiaskoret 2010 og Sinfonietta Arctica.
Solister: Gitta-Maria Sjøberg (sopran), Elisabeth Hanke (alt), Stig Fogh Andersen (tenor) og Lars Fosser (bas). Dirigent: Niels Borksand.
行く前からリハ見学を頼んでおいたので、15時半開始ですが、13時半に現地に行きます。立入禁止の立て札を無視して扉を開けたらいきなり、すごい勢いの声が飛び込んできて、表からは全然こんな気配を感じないのに中はすごい迫力で驚愕しました。ロックコンサートのような轟音です。ソプラノのショーベルさんのパート演奏中でした。いやー。これすごいですね。また弦楽器の音が実によく響くこと美しいこと。これが教会の響きって奴か！こりゃ洗脳されるゼ！（←なにか間違った先入観が生まれた瞬間）
でも先にネタばらししちゃうと、本番で客が入ってしまうと、おそらく衣服や人体に吸音されてしまって、ここまでの轟音感は無くなってしまったのです。その分宗教音楽らしい控えめで穏やかな響きになりましたが。それにしても最初の状態を経験出来てよかった！ここまでの吸音具合を肌で体験出来たのも今回の収穫です。ちなみに普通のホールでも一般に満席時と空席時では1秒以上残響時間が違うそうです。一秒以上違うなんて、お風呂ホールとHiFiホールくらい違ってしまいます。それが元々残響の多い教会の中ではどんな極端な差になって感じられることか。
とかやってるうちにアナセンがやってきて*1、何故か彼が私のコートを抱えて*2、二人で私の座席探しをする展開になります。違う場所で音響比較をするのが趣味であるとつい力説してしまいました。結局2階の正面のボックスに陣取ります。アナセン曰くこの教会は非常に変わっていて、普通は祭壇に向かって前後に長いのが一般的な教会であるが、ここは左右に長く、しかも3方の壁は劇場のようなボックスになっていると解説してくれます*3。たしかに音に気をとられすぎてロクに見ちゃいませんでしたが、そう言われると相当変わってます。ちなみにデンマークの他の教会はそんなことないそうです。
そんなこんなで二階の正面のボックスに陣取って、そこから二人でリハを聴いていましたが、あるところで突然彼が声を出して合唱に向かって「そこはこうだよ、こう*4」と歌ってみせたんですが、これはファンタスティック！この距離で聴くと空気の震えがすごい！これ聴けただけでも今日来た甲斐があった！ちなみに、彼が指摘した箇所は、そのときは分からなかったんですが、本番で聴いてると、ああなるほど・・・・と思ってしまいました。ちなみに合唱はこの時期日本でも多く見られる素人合唱団と思われます*5。トランペットもたぶんそうでしたね。この時期毎日至る所でメサイアが演奏されるということで、素人合唱団も多数結成されるのでしょう。
とにかくリハのインパクトが超強かったのですが、いよいよ本番です。本番で一番思ったのは、全てが明瞭でクリアですね。ヒストリカル音源を予習音源にしてたので余計そう思ったのかもしれません。さっきまではロックだったのに急にHiFiな世界に様変わりで、バロックっぽい！
特にアナセンの歌唱はすごく発音がクリアで、これがメサイア初体験の私には非常に有難かった*6。それに、いつものあの自在な緩急と、迸るような勢いと、声をゆっくり張った状態から急降下かつソフトに落として着陸させるセンスが素晴らしい。正直装飾音が機械のように完璧とかそういう種類の人ではありませんが*7、やっぱりこのスタイルは好きだ。
そろそろ時差ボケ疲れが出てきて急に眠くなったので、なにか尻切れトンボですが、本日はここまで。
