リートコンサート@Kokkedal

本日は、日本出発前にはピアノ伴奏のリートコンサートとだけ教えてもらってて、他には何も知らなかったコンサートに行ってきました。

Julekoncert (Christmas concert)
Sun. 12th Dec. 2010
Nivaagaards Malerisamling (Johannes Hage Memorial Museum of Arts), Kokkedal
Tenor: Stig Fogh Andersen
Pianist: Merete Bronnum

Progpam:

  • R. Schmann: "Dichterliebe"(詩人の恋)
  • P. Heise:
    • "Hist ude er koldt" (外は寒いけど)
    • "Dengang jeg var kun saa stor som saa"(「十二夜」から*1
    • "Liden Karen"(愛しいカレン)
  • P. Cornelius:
    • "Die Könige", op. 8, no. 3(3人の王)
    • "Christkind", op. 8, no. 6(神の子キリスト)
  • C. C. Møller: "Julegaven"(クリスマスプレゼント)
  • J. Sibelius: "Julevise"(Chrismas show?)
  • Negro spiritual: "Behold that star"(あの星を見よ)

いつも本番に辿りつく前に長く書きすぎて肝心の本編で力尽きるので、先にこちらから書きます。本日のコンサートは、アナセンのホームタウンであるKokkedalという小さな街にある、おそらくその街の出身であろう画家を記念した小さな美術館の中で行われました。ということも到着してから知ったわけですが。美術館のホールにスタッキングチェアを並べて百数十席の小さなコンサートです。

はじまってすぐの第一印象は、アナセンのリートコンサートと聞いて予想してたのと違うーということだったりしました。マスカレードの頃のようなノリで、ソフトにソフトに終始するのかと思いきや、ソフトにはじまってはいるのですが、(テノールにしては)結構バリショナルというのかな、普段そう思って聴いてないけど*2やっぱりヘルデンテノールなんだあーという印象でした。しかしこの人はヘルデンの諸役をやるときですら、とてもとてもボーイッシュなので、なんか、一種の逆転現象が起きているような。うーん、つまり、普段聴けない男性的なトーンのある歌唱だったと思います。と言っても普段のアナセン比でそう思うのであって、絶対的な尺度でそうなのかは保留します。というかたぶん違うと思います。なんだか明るい失恋の歌だなあというのがこの歌を各種聴いたことのある人の感想なのでは。私もこの歌はヘナヘナ歌うもんだという先入観があったんですが、なんか力強く歌ってました、特に前半は。

あとは、良い時の常で、どこがどうだったとかはあんまり覚えていなくて呑まれてしまったのですが、特に前半の詩人の恋に関してはただ吃驚していたのでそうなんですが、それでも覚えていることを書くと、まずとにかく声がよく「鳴る(ring)」なあーということ。この「鳴る」ってのは、うーんただ大きいのとは違くて、響くってのとも(近いけど)ちょっと違って、なんか鳴ってるんです。うーん、これをなんて言えばいいんだろう。その後何に似てるんだろうといろいろ考えたんですが、強いて言えば、ボーイズコーラスに近いのかも。ただ、ボーイズコーラスみたいに鳴るのにバリショナルなヘルデンです(笑)。

はっと気付くと、"Ich grolle nicht"だったかな、空気がピリピリと震えてて、でも嫌な感じは全然無くて*3、貴重な経験でした。あと"Hör' ich das Liedchen klingen"からの変貌が見事だった気がします。でも、よく覚えていないので、どの箇所がどうだったかってのは記憶違いがあるかもしれません。

詩人の恋が終わると小休止があって、後半のクリスマス歌曲群に移ります。Heiseの3曲はなんだかあまり覚えていない・・・・悪い意味じゃないんです、全然分析的に聴けなかったということです。外は寒いけど僕の心はホットだという歌と、去年の(恋人カレンとの)クリスマスのことを思い出しながら今年のクリスマスを待つというラブソング2曲を挟んで、間にはシェイクスピアの「十二夜」からの1節が入りました。

続くCorneliusも面白いと思ったけど、なんだかやっぱり覚えていない。これは今探すとYouTubeにいろいろありますね。ボーイズコーラスのように鳴る音を想像しながらこの辺をどうぞ。オーソドックスな宗教曲みたいなんですが、現場ではなにかちょっとだけ前衛的に感じられました。

続くMøllerはヌークという怪物を描いた曲で、通行する船を沈めてしまうので人々からおそれられている怪物ヌークがクリスマスに孤独を嘆いていると思わぬプレゼントを受け取るというストーリーだそうです。なんかこのストーリーはすごく気に入ったので、ちょっと詳しく書いてみました。アナセンらしい選曲で、オーソドックスなクリスマスソングじゃなくてポップソングみたいで可愛いじゃないですか。

次のシベリウスは、なんか事前に聴いたのと違ったような*4。ピアノの前奏がなにかエスニックな不思議な感じで、そこにヴォーカルが絡んで、不思議な印象でした。

最後のゴスペルでは、最初にアナセンが先導して"Behold that star lighten on"*5を簡単に2回くらいみんなで練習した後、オーディエンスによる合唱と交互に歌いながら締めくくりました。この曲はきっとすぐ見つかるだろうと思ったのですが、いろいろアレンジ版が多過ぎてオーソドックスなのが見つからない。この辺かなあ。この合唱部分の歌詞をずっと同じにして繰り返すってパターンでした。

アンコールは全く意識が飛んでいてよく覚えていません!そうそう、公演のラストに花束を渡すってのを一度やってみたかったのでやりましたよ。

*1:たぶん。どのくだりなのかは後で調べる。

*2:誉めてるのか貶してるのか分からん。いや誉めてます。

*3:そうです、声楽に関しては、そこまで行くと「嫌な感じ」がする(ことが多い)のが私にとっての常なんです。好きな音ならいいんですけど、ちょっとでも何か狂ってると、そんな音を大音量で聴かされるくらいなら小さい方がまだマシと思ってしまうんです。たぶん、あまり一般的な感じ方じゃないんですよね、これ。

*4:でも私のことだからロクに充てになりませんが。

*5:最後"on"かな?こう聴こえたけど自信がない、1シラブルでこう来たら"us"とか?