アイーダ@びわ湖ホール 2日目

この公演は、一日目が素晴らしかったので、一日目のレポを先にお読みください。

さて昨日一幕で突然啓示を受けて、幕間にチケットカウンターに走りこみ、うわずった声で「あ、明日のチケット残ってますかっっ」と詰め寄った挙げ句に(こわいよ>自分)観ることに相成った本日の公演ですが、その結果はどうだったかというと、ダメだった。いやダメじゃないけど普通だった。マジックは起こらなかった。オペラってむつかしいなあ(しょぼん)。キャスト総入れ替えだから、続けて起こると思う方がどうかしてるのかもしれないけど。まあ今日のチケット代は土曜の公演に対するご祝儀ということで。

もちろん一定レベル以上の普通でありますし、マジックと言ったってそんなものは客観的には無くて、ある聴き手(私)の中にしかないのかもしれないし、昨日はある瞬間にスイッチを入れられちゃったせいで以後は何を聴いても感じやすくなっていただけで、演奏・歌唱自体は同等か逆転している関係ですらあったかもしれないけど、そういう可能性に留意しつつそれでも言うと、今日は私にスイッチを入れてくれるものは無かった。

以後個別に書いてたんですが、書いてたら3時間かけて書いたレポがPCトラブルで一瞬のうちに飛んで、意気消沈している本日です。みなさまもオン書きは注意してください。不穏当なことを書こうとしたせいかもしれません。反省して出直してきます。気になる方は2、3日後にチェックしてみてください。

追記

なんかオケが勢いがなかった。日本のオケには珍しい明るさと熱さが好きなのになあ。凱旋の場なんか無料青空コンサートの方がのびのびとしていたっけ。そしてオケがこうなっちゃうと、昨日は気にならなかった指揮が気になってしまった。心理戦などサクサク流し過ぎでは。別に大袈裟に強調しなくてもいいけど、歌手の方が歌いたがっている(その前の歌唱に、それに向けた勢いを感じる)のに充分な比重をかけずに通り過ぎてしまう場面を目撃した気がする。元々そういう傾向のある人だけど。

歌手は、全く悪くはないですが、普段のこのブログの基準との公平性から言えば誉めて終わりにすべきかもしれないくらいですが、昨日の今日なのであえて言うと、つまり、昨日の公演のせいで日本人歌手でこのくらいならまあ満足しよっかの領域を超えたので、いつも日本公演に対しては言わない高望み系の要求を書きます。

まずラダメス。ちょい重めの男らしい声で、強靭で、ちゃんとヒーローらしくて(←これは特に評価したい)、オケを超える声量も充分過ぎるほどで、ご立派です。ただ、こっから先がこのブログの書き手の感性の変なところですが、立派過ぎて(歌唱が勝ち過ぎて)オペラの登場人物としては白々しいんですよね*1。「すごい音」を聴きたい人にはいいと思います。日本の聴衆は殆どがそういう嗜好なので、このままでいいと思うのですが、私の求めるものとはズレます。歌がある程度以上でないとそもそもこんなことは思わないので、すごく贅沢な要求ではあります。

今日のアイーダは、やっぱり声なんでしょうかねえ。高音で、ちょっとビブラートかかった独特の音色が入って、あれがもっと透明になるとクリスタル系になるのでしょうが、常にイの発音をしてるようなニュアンスが入ってて、最初慣れるまで違和感がありましたが、幕が進むとこれが魅力なのかなと思うものはありました。ただ表現は、熱唱してるんだけど伝わって来ないもどかしい感じがしました*2

アムネリスは、うーん、しっかりしてそう?お母さんぽいというか。もどかしい感じは一緒かなあ。

本日のアモナズロは、ところどころよい瞬間が無くは無いものの、ここは決めて欲しいと思うところは流れてしまって、決め所をビシっと決めて来るという点で断然昨日の人が良かったです。

ランフィスは、今日の人も不安定で、このパートってすごく難しいんですか?もしかして不当に厳しいことを書いちゃいましたかね、先日。

巫女と伝令は良かった。役に対して充分。

これは全て受け手の側の能力の問題かもしれないです。熟練した聴き手から見たら「あー全く聴けてないなー」かもしれないし、数年経ったら頭を掻きむしって「あのときの自分は一体何を聴いてたんだ!」と思うかもしれないです。が、現時点の私の能力ではキャッチ出来ませんでした。


昨日も今日も思いましたけど、今回の公演は、他の公演との比較の問題として、歌手間の声量差を感じず、誰の声も満遍なく客席に届くように感じたんですけど、何かしてるんですかね?実は特定周波数帯の吸収の防止や補正なんかをするだけで、このくらい満遍なく聴きやすくなるものなんですか?すごく謎です。

2回観たけどこの演出はやっぱりいいと思う。4幕の演出が好きだ。なんと言っても日本の(というより私の観た東京の)公演では必ずある「うわっこの人分かってないわー」「うわあ、センスねえなあー」を感じる瞬間がなかった。評価基準がネガティブで申し訳なし。

*1:もちろん、ある場面ではそれが効果的になるところもあるけど、全幕を通すと。

*2:それは9割以上の人がそうなんで、特に駄目ということではないですが。