京響のマーラー巨人@びわ湖ホール

日曜はびわ湖ホールに遠征してきました。実は京響の演奏を京都コンサートホール以外で聴くのは初めてだったり。いや野外音楽堂とか区民文化会館とかでは経験あるけど、ついでにびわ湖ホールでオペラでも聴いたけど、でもオペラとは全然聴きどころが違うから、やっぱり初体験のつもりで開演を待ってました。

そういえば、自粛モードかそんな気になれないからか、最近客入りがよろしくなかった関西の公演でしたが、この日は完売でした。

2011年4月17(日)2:30pm びわ湖ホール
篠粼靖男プロデュース・オーケストラ・シリーズ第1弾
篠粼 靖男(指揮)
竹澤 恭子(ヴァイオリン)
ニールセン:歌劇「マスカラーデ(仮面舞踏会)」序曲
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調
マーラー交響曲第1番「巨人」

一番最初にプログラムにないバッハのアリアの演奏があった。指揮者の挨拶で、終わったら拍手せずに黙祷をして下さいとの旨。

その後でプログラムのスタート。京響のニールセン目当てに行ったのだけど、私的には、残り2曲と比べてニールセンはこなれていない気がした。いや、そう思っちゃうのは、自分がこの曲だけ聴き込んで色んなパターンを知ってしまっているからだろうか。綺麗にまとまってはいるけれど、そんだけな感じがしてしまった。思い出してみると、実はデンマーク音楽にハマる前のマスカレード序曲のイメージがこんなもんだった。ところで私はクラシックを聴く習慣が無かった癖して、これだけは知っていたのである。名前も国も。何故知っていたのかは謎である。親父のコレクションに変なものがある関係で、体系だった知識は無い癖に変なところだけピンポイントで馴染んでいた可能性がある。

指揮者は滋賀の出身で故郷に錦を飾る公演でもある。サロネンのアシスタント経験があったり、スェーデン、フィンランドあたりでの経験があったりと北欧とのつながりが深い人。前半のプログラムはそれが反映されているのだろう。経歴を見てしまったせいでもないが、シベリウスのヴァイオリン協奏曲がはじまった瞬間に、さっきまでとは明らかに違うこなれ度があった。マーラーの1番もしかり。本当に演奏が違うのか、演奏する側は同じようにやっているが自分の聴き込み度と要求が違うせいなのか、本当のところは分からないが、自分が感じたことはそうだった。どなたか他に聞いてた方がいたら、他2曲と比べてどうだったか教えてくださいな。

続くシベリウスのヴァイオリン協奏曲は良くて、特に1楽章が素晴らしかった。ソリストも、水気を含んだ重さのある音で新鮮だったし、いつも何を聴いても違和感を感じる協奏曲におけるオケとのバランスも良かった。第1楽章は特に、通常の協奏曲における配分より、ずっとずっとオケの側の存在感が軽めの設定で、それがしっくり行った。意外な発見だった。

続くマーラー1番も面白かった。馴染みのさすらう若人の歌の旋律が随所に出てくる。これは私のお風呂タイム愛用音源で何百回とリピートしているので、文字通り細部まで体に浸み込んでしまっていて、あの旋律を各楽器にやらせるとこうなるのかーというレベルで観察出来て面白かった。演奏する曲そのものを同じアレンジで予習するのもいいけど(そう言いつつ、予習はオペラだけでオーケストラ曲についてはなかなかやらんけど)、こういう種類の予習と本番体験も、発見があっていいもんだなーと思った。いつもとホルンの位置が違うなーと思ったら、終盤にホルン部隊が立ち上がって演奏する趣向があった。しかもホルン7本もいた。マーラーだからホルン大活躍だし。管楽器のソロは相変わらずいいサウンドだったけど、京都コンサートホール(のお気に入りの場所)で聴くよりも立ってない感じがしたのは、やはりホールの影響だろうか。私はあのデッドさは結構好きだ。いい場所が少ないのがあのホールの難点だが。

そういうわけで聴いてる間はなかなか面白い体験だったのだけど、終わった後はすっきりしていて、例の「私の耳を上書きしないで」的な、それ以上音楽を入れたくないようなぐったりした感じにはならなかった。最中の充実度とあの感覚が来るのは必ずしも一致していないのが不思議だ。


最後にこれまでの体験を総合した、びわ湖ホールの好みの座席メモ。ここは3階の正面(3階なら最後列でも良い)と3階サイドの音が私好みで、1階中ほどと、4階正面はあまり好きではない。2階席という名義の1階後方が段々になったような場所は最悪だった。音が篭ってモヤモヤしてしまう。ついでに4階正面の4列目*1は、仕切りの壁とその上の手すりが、たぶん普通体型の人にとってはジャスト邪魔にならない位置に来るのだろうが、私にとっては視界を半分隠す配置に来てしまった。みんなどんだけ座高が高いんだ。ここは中ホールの2階1列目の手すりの高さにも同じ問題があった。びわ湖ホールは全般に手すりの設定が高過ぎるので、チビには要注意である。

*1:3列目と4列目の間に通路があるので、視界が開けていることを期待して選んでしまった。