京響@名古屋

今日は行って良かったー!!今シーズンは締めくくりの3月の広上のおっちゃんの会に行けないので、一足お先に名古屋に行くと決めていました。他の都市の出張公演でも良かったのだけど、名古屋はショスタコ5番だからこれは行くしかないでしょう!しかもチケットを確保した後に、例のごとくDRを聴いててめっちゃ気に入ったホルンの人がソリストでホルン協奏曲があると判明し、気分はいやがうえにも盛り上がります。

プログラムは前半にシュトラウス2曲、後半にショスタコ5番という構成です。どこで聴こうかと考えて、京都コンサートホールでは聴けない*1正面を体験しておこうと考えました。だけどやっぱり気になって、3階サイド席も買い足してました。折角交通費かけて行くんだし。完売じゃないので勘弁して下さい。それで前半を3階正面、後半を3階サイドで聴きましたが、これはサイドが圧勝でした。大体、おっちゃんと京響なんて、解像度を上げて聴いてもOKな組合せを聴くんだから、解像度高い場所で聴かないと勿体無さ過ぎる。次回からはもう迷わずにサイドで決め打ちにしようと思います。

1曲めドン・ファンは、おっちゃんの京響らしく「前向きなロマンティック」で良かったと思います。しかし、本領発揮とはよう言いません。京響はもっと出来る子。戦力も温存してるし。


続くホルン協奏曲。なんかモフモフ体型の人ktkr!!*2容積がおっちゃんの倍はあります。これがバボやんかー!既にロビーの会話でバボやんとかバボちゃんとか言われてるバボラーク登場であります。ちなみに右の画像はバレーボールのバボちゃんです。これにちょっと線足してホルンっぽくして、こっちのバボちゃんのマークに出来ないかな。http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/b0057653_2325417.jpg

一音め、めーーーっっちゃいいじゃないですか。一気に耳が臨戦体制です。バボやんすげー。すげー。澄みきった音ではない、少し曇りの入った金管楽器の輝きのようなソフトな音。しかもなんと軽々と、全く力みを感じさせずに、鼻歌でも吹くように吹くのだろう。すげー。バボやんは、ずっとOFFの人です。正直、バボやんと交互に聴こえると、おっちゃんの京響なのに、京響の方が力んでいるように聴こえてしまったりして、単独では絶対そんなことない、力みとはほど遠い演奏なのに、バボやんがあまりにも鼻歌のように吹いているので、そんな錯覚すら起こってしまいます。バボやん効果すご過ぎ。しかも、そんな鼻歌のような力の抜け具合なのに、音がホールを満たしていて、耳にじんとした心地よい刺激すらあるのです。全く謎過ぎる!!

面白かったのは、アプローズのときにおっちゃんが奏者への労いの指名をバボやんにやらせていたこと。この人も超耳良さそうだもんな。このクラスになると、(相対的には耳が良い筈の音楽関係者の内部でも)周囲の人達と感覚が違い過ぎて、あまりにも見ている世界が違い過ぎて絶望に陥ったり人間不信になったりしないんだろうか。

聴衆は大喜びで拍手は鳴り止まず、何度も呼び出されるバボやん。都合アンコールを3〜4回(?)やったんじゃないかな。最初はジークフリートのホルン。わーい♪*3 そしてアルペン牧歌。短いが一応まとまった曲。もっと短い数フレーズのなにか。そろそろおしまいですアピール。それでも拍手は鳴り止まず観客は諦めず、最後はオケが立ち上がってやっと一段落 。


後半はいよいよショスタコ。ステージを見ると戦力も勢揃い。前半あんなに盛り上がったら後が難しいんじゃなかろうかと思わないでもなかったけど、全くの杞憂でした。いやー、良かったですね。さすがですね。何が良かったって、キレが良いし、後を引く重さもあるし・・・あーでも、この受け取った「重さ」はなんだろう。何を考えてこの曲書いたのだろう。こういうことを考えさせてくれる演奏は良い演奏なんです。これがあるから良い演奏なんです。

個々のパートも良かった。京響の弦はいつもいいのが当たり前なので、つい言及し忘れてしまうのですが、今日も良かった。実はショスタコ5番て弦大事ですよね。また3楽章の終わりのとこなんてヴァイオリンがコンピュータのように正確・・・というかコンピュータは得意だけど人間には難しい種類の表現をそうでない表現の合間にこなしていて、えらい吃驚したのだった。

クラリネットのファーストをいつもと逆タッグでこなしていたのだけど、それも良かった。ここのクラリネットは実に層が厚い。オーボエも良かったな。フルートの首席はあの安定感であの音が出るのが素晴らしい。

実は、バボやんの後ということで、始まる前から密かに注目していたポイントがありまして。思えば2010年6月「私この人の音が好きだ!」と思って以来のことです。私はここのホルンの首席の音にめちゃ反応するのですが、目を閉じていても合奏に入ってるか入ってないか判別出来るくらい反応するのですが*4、私にとってはかように特別な音だけど、あんまり言い過ぎると気持悪いかもしれないので普段は自重しているだけなんですが、バボやんのような経歴の人を聴いた後だとやっぱり聴き劣りしてしまうのか、それともやっぱり絶対値で良いのか、これを知りたくて、密かに注目していたのでした。結果は・・・断然良かった!逆に良かった!むしろ良かった!これは、次元の違う世界でした。バボやんの音が、なんというか、ある種客観的に「いやー、いい音やなあ、うまいなあ」って感じなら、こちらは「きゅーん」とするんですね。理屈じゃない!!!!!

こういう存在って何だろうなあ。この人とアナセンだけだなあ、こういう種類の反応が出るのは。

http://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=190&y=2012&m=2&PHPSESSID=548f80e8dd681aa6c4315d8ab28947b1
京都市交響楽団 第2回名古屋公演
日時:2012年2月24日(金)6:45pm 開演
会場名:愛知県芸術劇場コンサートホール
出演者:広上 淳一(常任指揮者)
ラデク・バボラーク(ホルン)
曲目等:R.シュトラウス交響詩ドン・ファン」op.20
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番変ホ長調op.11
ショスタコーヴィチ交響曲第5番ニ短調op.47

*1:というのもあんまりだけど、京都コンサートホールの正面はあまりにも音が来ないのでお金を出す気になれないというのが本音。

*2:「来たこれ」を表すネットスラング

*3:ジークフリートは私にとって特別な作品なのです。

*4:またそんなトンデモを。