ついでに着物話@ROH

鑑賞記が完成しないので、飛行機の中で書いた余談を。


常設劇場のシーズンプレミエは初めての経験です。終演後のパーティーに潜り込むべく再び着物を着て行きました。

地味好みで着物らしい華やかな着物を全く持っていない私ですが、プレミエなので少しは華やかにすべく、手持ちの中では一番シックな深緑に飛柄の南天小紋を選択しました。これから本格的に寒くなるってシーズン*1南天は丁度良いかなと。地模様が南天の葉の織り込みで、その上に金彩で南天が描いてあって、柄行きも小柄で色無地っぽく見え、八掛も朱に共柄の南天*2、ついでに半襟も共地の南天柄で、私の手持ちの柔らかものの中では一番凝った着物です。こういうのって日本人は好きだけど、どこまで外国人に分かるのか疑問です。もっと大柄でバーンと派手な方が喜ばれるんだろうなー、裏地なんか分かんないよなーと思いつつ、まあ、適当なのこれしかないし。帯は白地に銀糸の入った傘柄*3名古屋帯にして*4、コーディネイトを柔らげるべく淡いサーモン色の帯揚げをして、いつもなら3部紐に帯留ばかりのコーディネイトですが、今回はプレミエなので派手な金糸のたっぷり入った朱の帯締めをして出来上がり。

この着物は就職して2年目くらいの頃に誂えた、初めての一着です。その後はすごいカジュアル志向になって木綿だのウールだの縞だの格子だの紬だのばかり揃えてしまったので、数ばかりやたらある癖にオペラに向いたものがありません。後にこんな趣味を持つことが分かっていたら、普通に華やかな着物を揃えておけば良かった。あの頃は大袈裟にならないように浮かないようにカジュアルダウンすることばかり考えてたから。しかし全く無いわけでもないので、こういう機会があっても新しく買う必要もなく出かけられるのは便利です。若い頃に揃えたファッションアイテムがここまでそのまま使えるのは着物ならではでしょう。なんせ、その後、足袋一足どころか、紐一本すら投資してませんから。


しかし観劇で着物って、まさか訪問着を引っ張り出すわけにも行かないし*5小紋か付下げの範囲内でプレミエらしくって、逆に難しいと思った次第です。紬も日本での観劇には良いかもしれないけど、海外ではあんまりねえ。一枚だけ照りの強い鮮やかな水色の紬があるからこれはイケるかもと思うんだけど、あんまりよい紬じゃないから重いし嵩張るし、いつも荷物に余裕がないし、結局持参したことは無かったり。

・・・と書いたけど、まあ、気にしないで振袖でもなんでも着ればよいんじゃないかな。うるさい京都人の目もないし。

でもROHは客席が全然華やかじゃないし、そもそもラインの黄金だと幕間がないので、折角着てもあまり甲斐は無かったのでした。着るものに労力をかけるときは一幕もの公演は要注意です。それでもシーズンオープニングに気後れしないために意味はあった気がする。自分側の心構えの問題として。私の目的は公演後にあったのでいいんですが、そのお話はまた後で。


こういう話だと画像が欲しくなるところだと思いますが、着物が分かるような構図で一人で撮った写真がないので、強いて全身分かる写真を挙げるとこれかな。一番の特徴の朱の裏地がチラとでも写っていないのが残念です。もっとアップで地模様なども分かる一連の写真はこちらにあります。

*1:ロンドンはもう冬支度だった。ひゅるる〜。

*2:この着物で一番好きな要素はこの八掛。表は地味で裏地に思い切った色を合わせるのが好き。←ああ日本人。

*3:万年小雨のロンドンにピッタリ?

*4:旅先で二重太鼓を締める根性は私にはない。つーか袋帯は無駄に重い。

*5:いや自分がゲストで招待席で2階正面中央などのに座るならアリ、というかむしろそうすべきだろうけど。