ROHラインの黄金 2回目

そんなわけで始まる前から、るんるん気分。本日の座席はオーケストラ(1階席、平土間)の3列目。中央からちょい下手寄り。毎日々々電話し続けた成果です。もうちょいオケピから離れたかったけど、蓋を開けたら丁度良かったかも。座席からステージを撮ろうとすると、近過ぎて全体が写らない、そんな近さ。しかしここ、予想通り前2列分の人の頭が丁度目線の高さの視界を埋め尽くしていて、どんなサイド席でもあり得ないpartial viewです。だから私にこの場所は鬼門なんだってば。平土間や2階席では前の人の頭が、正面1列目では手すりが、丁度目線の高さに来てしまう並外れたちびっ子にとっては、上階席サイドの見切れなんてむしろ良視界に分類されてしまうのでした。真面目な話、ここまで体格差がある場合は、前の人の頭と頭の間の切れ目を探すべくから常に頭を動かして見なきゃいけないので、正面エリアはあえて外して、思いっきりサイドから角度を付けて観る方が頭を動かす範囲が減って楽かもしれません。真正面は本気で見えん。

さて気を取り直して、1列目の兄ちゃんはオケピ覗き込み専門らしいので視界もちょっと楽になったし、ラインの黄金の開始。オープニングは、本日も金管は地力不足。サウンドは昨日amphitheaterで聴いたような響きの愉しみはないものの、これは承知の上で選んだ場所なので仕方無し。平土間1〜2列目でしばしば感じるほどアンバランスにオケが強いことはなかったのでOK。前から4列目くらいまでは1列変わる毎にサウンドがすごく変化します。


まず青いロングヘアのラインの3人娘がヌード姿で登場。1人目は若干不安定ながら、3人のうち1人はなかなかおきゃんで可愛らしい表現で気に入りました。問題は私が3人娘のパートを個別に把握してなくて、誰が良かったのか分からないことだ。アルベリヒが小舟に乗って登場。いきなりつなぎのパジャマ姿で変態全快で、それでナンパはいくらなんでもないだろうよ。アルベリヒがやって来ると、そそくさと服を着る娘達。ヌードはほんの一瞬*1。一人の格好がマニッシュ系でネクタイを締めていて、赤いネクタイで拘束するというモチーフはここからはじまります。「ヤダ!毛むくじゃら!」では股間のスリットを広げたりするので、そこでツルツルだったら逆にヤバいだろう、などとツッコみながら鑑賞します。

ラインの黄金は地球っぽい球体のなにか。このシーンではありがちなことだが。3人娘が阻止しようとすれば簡単に出来そうなのに、何故かその辺で悶えてるだけな辺りに違和感*2


シーン変わってヴォータンの仮居。前に書いた通りステージ一座の設定。チェスをしながら夫婦の朝の会話を交わす2人。さてこの辺で、この場所のインプレッションですが、さすがに、ここまで来ると違いますねえ。なんというか、録音みたいに非常に細かいとこまで分かる。って私は録音がデフォでライブ鑑賞でも録音の音を求めてしまう本末転倒オーディオオタクではないが、でも、座席が近づくとオペラハウスの他の場所と比べてどういう方向性で変わるかというと、そういう風に変わるとしか。例えば、オケと歌が一緒に鳴っていて、必ずしも歌が抜けた感じがしないときであっても、その中で歌に付けている表情が手に取るように分かる感じ。オケが止んで弱音に耳が集中する感じじゃなくて、オケが鳴り響いていても、弱音から中ボリュームまでの変化が分かる。

実は近づいてみて一番印象が変わって面白くなった歌手はターフェルだったりしました。逆に言うと、ちと離れると、そんだけのことを本人はしてるんだけどそれが全部は分からないもどかしさがあって、そこが、このロールだと勿体ないって印象になるのかもしれません。あとはターフェル、ワーグナーのアリアがそんなに上手くないよね。むしろそれ以外のところがずっと面白い人。その水準からアリアはこのくらい盛り上げてくれるだろうと思ってると、ちと肩透かしなところがある。私に言わせると、もうちょっとドライブして欲しいんだよなあ。リズムの問題として、もっとゆったりと流れに乗って、オケをちょっと超すくらいにリズムをとって*3ドライブして欲しいの。意味不明ですかね。見た目はイメージぴったりだと思うよ。精悍な土佐犬みたいで貫禄充分。The 主神!あのアゴを見るとスリスリしたくなる。

フリッカは今日もいい。この人は近づいてもあまり印象が変わらない人。表情よりは響きで聴かせる人なのかな。フライアはこの役としては充分。アン・ペダーセンはデンマークのソプラノで、前にも聴いてるかも。


そうこうしてるうちに、低音が鳴り響いて巨人兄弟の登場。ファーゾルトのイアン・ペイターソンは、以前に安易なヨカナーンで聴いてあんましよい印象が無かったんだけど、実際聴くと表情付けは頑張ってると思った。けど、どうも声質がこの役にしては軽過ぎる。伴奏の低音に釣り合ってない。声が軽いとか重いとか言うとき、過去のこの役を歌った人の声じゃなくて、オケが要求してる声を基準にしてるんだなと自覚した瞬間でした。一方、ファーフナーのエリック・ハーフヴァーソンは、その点充分な重さがあって、しかも声自体がすごくユーモラスな成分を含んでいて、輪郭の周囲にちょっとフワッとした柔らかい成分を持ってて好印象。ここの Goldene apfel .... ってユーモラスな旋律だと思うんです。

フローは、至近距離で聴けば頑張ってるのは分かったが、これだと劇場では映えないだろうなあ、と。ドンナーは昨日のグンターのときよりはマシだが・・・


本日もあっちからこっちから煙が上がり、ローゲ登場。単純に、声を単独で取り出して言うと、アナセンは、ひょっとすると、少し離れて聴いた方がより面白い歌手かもしれない。実は私は彼をそういう風には認識していなかったので、これは発見だった。なんせ声量が非常にあるタイプの歌手ではないし。でも、少し離れて響き込みで聴いた方がよりユニーク*4な存在と言えるかもしれない。

この辺で力尽きたので続きは後日。

*1:そもそもタイツ着用でしょうが。

*2:うまい演出はこういうところが自然なのよねえ。

*3:ブランコが揺れて本来のタイミングをちょっと超すようなイメージ。

*4:本来の、他にない存在という意味のユニーク。