なんと贅沢なコペンハーゲンのオペラハウス

世界のオペラハウスの図面にご協力、有難うございました。別ルートからの分も合わせると、後はバスティーユを残すのみで、ほぼ揃ったか、揃う見込みとなりました。本当に有難うございます。

提供頂いた図面は、オペラファンにとっても興味深いと思うので、提出資料用に整理した後で、このブログでも紹介したいと思います。外観や客席部分はよくあるけど、ステージも含めて見るのはまた違うし、複数のオペラハウスを並べてみるとまた別のことが見えてきたりします。

さて、建築図面の探し方をちょっと覚えた私は、DKTのOperaen(新劇場)を探してみました。
http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/DKT/8Opera.jpg
http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/DKT/8BOpera.jpg
http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/DKT/9Opera.jpg
http://www.arcspace.com/architects/larsen/opera.html(出所)


いやあ。すごいですね、これ。なにがすごいって、平面計画が。まず客席の3倍はあるロビーの面積。これ全部ガラス張りの吹き抜けで上から下まで一体感があるので、現地で見ると透明感が半端ないです。またバックステージが、同一平面に6面舞台が全部並んで、倉庫も1面分まるまるあるし。こんだけ余裕のある敷地で座席数を欲張ってない(後述)。他の劇場の図面と並べないとどれだけすごいのか伝わりにくいかもしれませんが、破格なのは間違いないです。正直、どこぞの自治体のように、両袖を合わせてやっと半面という世界でやいやい言ってる身からすると、ギャップに眩暈がします。

Operaenは運河に面しているのですが、海側から見ると大きなガラス球の中に、さらに木の球が浮いた構造をしていて、その木の球がバイオリンみたいな飴色でオーディトリウムになっています。ロビーやホワイエはガラス球と木球の間にあって、そこから客席へは渡り廊下のようなスペースを通って木球の中に入っていきます。日が暮れるのが遅いコペンハーゲンの夜は、一幕見て出て来るとがちょうど夕焼けで明るくて、ガラス球のホワイエ空間が映えます。

このOperaenの写真はこのブログでもお馴染みですが、今日は上の図面の建築系ブログから紹介しましょう。

http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/DKT/3opera.jpg
http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/DKT/11opera.jpg http://www.jca.apc.org/~czy00347/starboard/pics/DKT/12opera.jpg

http://www.arcspace.com/architects/larsen/opera1.html(出所)

この建物はメインステージとその上のフライタワー(吊り物をするタワー)が一段高くて、その両側に、客席の入るガラス球と、バックステージと事務棟の入る部分が、ボリューム的には対称に配置されています。運河沿いの風景にもよく合っています。

なによりすごいのが、こんだけバックステージをとって、敷地に余裕があり、しかも1600席の旧劇場と同時並行するのが前提なのに、新劇場の客席が1492席なんです(オケピ使用時)。しかもバルコニー席のレイアウトが舞台寄りなので、通常の1500席級のホールよりずっと親密な感じがします。いやあ、私のような観客にとっては、非常に・たいへん・ベリーベリー有難いことですが*1、しかし欲張らないにも程があるだろうと。ちなみにバックステージも事務棟もすごくゆったりしてます。もともと生活は質素な割に居住空間には高い比重をかける国ですが、それにしても、このバランスはすごいなあ。

ちなみに対岸が今も王族が暮らす王宮になっていて、運河を挟んで王宮から丁度正面に見える位置にこのオペラハウスはレイアウトされています。観光時には王宮からのオペラハウスの眺めチェックも忘れずに。さすがに女王様の正面では下品な建物作れないよね。つーか、そんなことを考えないといけない日本人が哀しい。デン人はそんな警戒しなくていいだろうに。


さて話題を変えて。このOperaenを、至るところから360°観察出来るサイトがあります。
Operaen 360° http://www.virtualworks.dk/tours/kgl/test/website.html

最初に画像の表示手段を選ぶのですが、よく分からなかったらStandardで*2。待って出てくる画像の脇の項目名をクリックして、さらに出てくる画像の赤いDKTマークとクリックすると、そこからの360°ビューが開始します。画像から入るのがカッタルかったら、左側の"Skift sogning"から"Thumbnails"を選んでビューポイントの一覧を表示させてもいいです。

で、これがちょっとすごくて、本当に現地に行って見た風景がそのまま出てくるんですよ。それに、本当にあらゆるポイントから見れるし。こういうのって、宣伝文句だけすごくて、実際やってみるとショボかったり操作性が悪かったりするじゃないですか。でもこれは結構自然。撮影ポイントが多くてさりげなく並べてるだけだからかな。勿体ぶらないけど、実はとてつもなく贅沢。この建物自体もそうだし、DKTの舞台作りとも共通する精神を感じますよ。

あと私にとっては「あ、シュンヴァントさんだー」とか「おお、これはコペハン・ジークフリートのアレでは?」「こっちはあの演目だ」みたいな楽しみもあります。

追記

この劇場が建てられたときの記事を紹介します。私が思ってた以上に贅沢な建物だったようです。「勿体ぶらないけど、実は」とか言ってる場合じゃなかったな。たしかに現地で見ると、新しい建物って、どっか安っぽさを感じさせるんだけど、それが全然ないのよねえ。逆に言うと、

http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2005/01/post_3.html
デンマークの海運王 オペラハウスを建てる @ 「おかか1968」ダイアリー〜いっそブルレスケ〜

http://www.asahi.com/world/germany/music/TKY200503160426.html
プレゼントされたオペラ劇場 @ asahi.com *3

*1:有難さのあまり言葉遣いおかしくなってる。

*2:結局Standardが一番サクサク動くので、QuickTime使えてもそれがいいです。

*3:しかしこの記事失礼やなー、全然ライバルちゃうし。比べるだけ失礼。万年オール3と、そういう評価軸を超えた芸術の高みに到達出来るだけの圧倒的過ぎる差がある。ドイツ偏重の日本の音楽界の周縁見下し意識が満載。あんだけのものを前にしてコンヴチュニーしか分からないとは、芸術を見る目がなく知名度でしか判断出来ない日本人そのものだし、同国人として恥ずかしい。