ラ・フォル・ジュルネびわ湖

今日はびわ湖ホールラ・フォル・ジュルネというイベントに行ってきた。会場は賑やかで無料コーナーはロビー一杯の人だかりで子供連れも多くお祭り気分で、久しぶりにこういう自粛ムードを引きずっていない風景を見た気がした。

ラ・フォル・ジュルネびわ湖2011 熱狂の日
ウィーンのベートーベン
2011年4月30日(土)びわ湖ホール

実は一昨日くらいから喉が痛くて今朝目が覚めたときには最悪の気分で、こりゃ明日以降のために今日一日寝ておくべきかと思ったのだが、しばらくそのままの体勢でいたら気分が良くなったので出かけることにした。そのため予定していた最初のプログラムが半分しか聴けなかった。しかも前半のフィデリオと初体験のオラトリオを楽しみにしていたのに、この2つを逃してしまった。でもあまり期待していなかった第九の合唱が迫力があって良かった。1階の中ほどに席をとっておいたのだが、声楽は歌手と同じ〜ちょっと高いくらいのポジションが声が直接飛んで来て迫力があるなあと思いながら聴いていた。

宮崎剛(ピアノ)/びわ湖ホール声楽アンサンブル
ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団/京都バッハ合唱団/本山秀毅(指揮)
時間: 13:00〜13:50  会場: 中ホール
ベートーヴェン:オラトリオ「オリーブ山のキリスト」op. 85より 天使の合唱
ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』op. 72より
         囚人たちの合唱 第2幕フィナーレ「やさしき妻を持つ者は」
ベートーヴェンワーグナー編曲):交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」第4楽章(ピアノ伴奏版)

次の目当てはロビーでの無料コンサート。4大テノール*1が面白おかしく歌ってくれた。ピアノによる月光に「荒城の月」の歌を重ねるという無理難題から、まともに歌曲を2曲やって、本公演ではかき消されがちな第九のテノールソロを思う存分歌って鬱憤を晴らすというお遊び企画。こん中では二塚さんに注目してて「荒城の月」では一人だけ声が真っ直ぐ飛び込んで来る感があったし*2、続く歌曲「口づけ」でも表情が明るく豊かで面白かった。この人は個性がはっきりしてて面白い。

14:30-
びわ湖ホール声楽アンサンブル4大テノール
清水徹太郎・竹内直紀・二塚直紀・山本康寛
ピアノ:佐藤明子
「口づけ」「第九」

あとはメインのプログラムで興味を引くものが無かったので無料のロビーイベントをうろちょろ。音が出ているところを歩き回れるのでこれ幸いと場所による音響比較をしようとしたが、どこもいいので全く無駄だった。さすが滋賀県と思わせる広い広いロビーの1階も2階回廊も、どこもくまなく音がいい。スピーカーをよほど効果的に使ってあるのだろう。私の粗末な耳ではどこが生でどこからスピーカーなのか分からないくらい自然だった。全く舌を巻いた。他の劇場や映画館もこの1/10でもいいから気を遣ってくれればいいのに。

最後にイギリスのヴォーカルグループを聞いて帰ってきた。女性2+男性6の8人グループ。一人一人の声も綺麗だし、言葉にするのが難しいが、いつもの声楽となんか違う味があって面白かった。ショーを意識した進行や雰囲気もクラシックとしては新鮮だ。本公演も良かったが、その前のロビーイベントのときに客の興味を引くよう適当にポップスを混ぜていて、そんときにポップス曲をマイクで綺麗に歌っていたのが逆に新鮮だった。声楽の鍛えた喉で歌うえらい安定したポピュラーになってて、そうだよなあ、ああいう歌はこうすべきなんだよなと思った。

ヴォーチェス8(エイト)(ヴォーカルアンサンブル)
時間: 18:30〜19:15  会場: 中ホール
ベートーヴェン:ミサ曲 ハ長調 op. 86 より
I.キ リエ、II.グ ローリア、IV. サンクトゥス、V. アニュス・デイ ほか

今年のテーマは「ウイーンのベートーヴェン」ということだが、あちこちで選曲を苦労したという話が出ていた*3。タイトルにウィーンと付いてるのはベートーベンにウィーンじゃない時代があるということだろうか。そういう話は特に出なかったが。個人的にもあまり好まないジャンルであるし、知らない曲ばっかだろうと思ったら、さすが人気のベートーベン、見事に馴染みのあるメロディーばかりだった。ボイム先生と一味が好んで録音するので、好まないと言いつつ一通り体験しているのかもしれない。しかしプログラムがピアノ三昧なのはちと参った。午後の空いた時間になんか入れようと思っても、並行するプログラムがみんなピアノソナタだのピアノコンチェルトだったりする日にはどないせーっちゅーねん。あとびわ湖ホールはどんだけ座高の高い人間を前提にしてるんだと今日も思った。中ホールの2階のサイドの手すりにも引っかかってしまった。というわけで次回から気をつけるメモ。会場で売っていたベートーベン愛用コーヒーはここ数年来経験したことのない深焙りだった。こんなもの飲んでるから眉間の皺がとれなくなるんだ(←いいがかり)。

*1:3大テノールのパロディだろうか。

*2:そういう役割分担だったのかもしれないが。

*3:ジャンルにもよると思うが、声楽系を回っていると、どこ行っても同じようなものが出るなあという印象は確かにあった。