シルレル(シラー)『ドン・カルロス』一読後の感想

  • カルロは本当にダメダメな奴だなあ*1
  • ポーザ候(ロゴリーゴ)に肩入れしながら読んでしまった。カルロと王妃の関係を彼がどう演出しようとしていたか意図が明らかになったところで、人物像が急に立体的になる。以後は完璧超人に向けてひた走るポーザ候。そんな彼にもたったひとつの欠点が。その欠点とは・・・・友人を選ぶセンス。
  • 王の造形はちょっと違和感があるかな。カルロの反抗とロドリーゴの裏切りが明らかになってからの悪役思考にはリアリティを感じられず、しらけちゃった。これは単に自分が、誰も悪くなくて、みんなが互いのことを考えて、でも各自自分の都合の良い方にちょっとだけ曲げつつ、そんな人間らしい自己中心さと良心が同居した人間達の行動が積み重なって裏目に出てしまう系の話が好きで、勝手に期待してただけか。
  • ついでに大僧正(宗教裁判長)の役目も物足りない。これは先入観のせい。
  • 典型的な誤解が誤解を生んで悲劇というか、各自の思惑が悪い方に転んでパターンというか、途中でその辺が読めてやきもきしちゃう系というか、まあフィクションらしく楽しめる作品ですな。個人的にはもっと突き放してる方が好きだったりして。結末も書き過ぎ。
  • あらすじだけ読んだ範囲では、オペラのストーリーの方が自分の好みに合ってるみたいなんで、楽しみです。ところで今入手可能なリブレットってご存知ないですか?

*1:のび太君はダメだなあ」って言うときのドラえもんの口調で読んでください。